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日本パグウォッシュ会議
見解
米トランプ政権のINF(中距離核戦力)全廃条約破棄方針をめぐって
2018年10月29日
2018年10月20日、米トランプ政権は、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄する意図を表明した。
INF条約は、87年に米国と旧ソ連の間で締結された初めての「核軍縮」条約であり、その後の冷戦終了、核軍縮の流れを作った歴史的にも極めて重要な条約である。この条約が破棄され、新たに中距離核兵器の生産・配備が再開されるようなことになれば、軍拡競争が再び激化し、核兵器の使用リスクが一段と高まることになりかねない。欧州の安全保障や、朝鮮半島非核化交渉など、東アジアをめぐる状況にも悪影響が及ぶことは必至である。被爆者と世界の市民社会の願いによって生まれた「核兵器禁止条約」批准を進める動きに逆行するだけでなく、核保有国に核軍縮の努力を求めるNPT(核不拡散条約)の定めとも矛盾するものである。
INF全廃条約の破棄は、「冷戦」時代に逆戻りするような無謀な政策であり、到底受け入れることはできない。日本パグウォッシュ会議は、今回の米政権の方針に強い危惧と批判を表明し、米ロ両国が今後も同条約を維持することを求める。また、INF全廃条約維持を求める国際的動きの中で、「核の傘」依存国、特に日本は被爆国としての自覚に基づいてイニシアチブを発揮し、積極的役割を果たすことを求めたい。
日本パグウォッシュ会議
代表 鈴木達治郎
副代表 栗田禎子
副代表 高原孝生
日本パグウォッシュ会議 Pugwash Japan
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