PUGWASH
NAGASAKI 2015
パグウォッシュ会議の歩みと成果:対立を超えた対話と科学的議論
ラッセル・アインシュタイン宣言がきっかけとなり、東西冷戦のさなかの1957 年、カナダの小さな漁村パグウォッシュに米・ソをはじめ世界から有数の科学者 22名が集まり、核兵器の危険性、放射線の危害、科学者の社会的責任について真 剣な討議を行いました。日本からも湯川秀樹、朝永振一郎、小川岩雄の3名が参 加しました。この会議の成功から、毎年継続することが決まり、パグウォッシュ会議はグループ名ともなりました。その後、「対立を超えた対話と科学的根拠を 政策決定者に提供する」、というパグウォッシュ会議の活動は、世界の核軍縮・ 核不拡散関連の条約や合意成立に大きく貢献しました。米ソ冷戦が終結した後 も、世界の紛争や核問題は継続しており、核問題はもちろん、最先端科学技術と その脅威を巡って、今も対話と科学的議論が続けられています。
パグウォッシュ会議日本開催の意義:長崎から世界への発信
2015年のパグウォッシュ会議は、被爆70年、戦後70年の節目に被爆地長崎で開催 されるはじめてのパグウォッシュ会議となります。その意義は大きく次の4つが あげられます。
・世界各地から集まったさまざまな分野の科学者・専門家が被爆地長崎におい て、被爆体験に学び、市民と対話・交流するこで、
核兵器の非人道性と脅威を 実感し、核廃絶への決意を改めて強くすることで、核廃絶への動きを加速させま す。
・国際情勢が不透明化・流動化し、世界の諸地域で緊張の高まりが指摘されるな かで、改めて、国際紛争をあくまでも平和的に
解決することの重要性を確認し、 紛争解決のための対話の場を提供します。
・北東アジアにおける核問題、領土問題、歴史認識問題等を踏まえ、平和で友好 的な関係構築を追求すると共に、地域の非核化
に向けた議論を行ないます。
・福島原発事故の教訓を踏まえ、原子力平和利用をはじめ科学技術がもたらす便 益とリスクについて、推進・反対の二項対立を超
えた立場で、科学的・客観的観 点から議論を行います。
これらの議論を踏まえて、会議の最後に「長崎宣言」を採択し、世界に発信します。
●第1回会議記念写真
パグウォッシュ 2015 組織委員会
鈴木 達治郎
(長崎大学核兵器廃絶研究センター長、パグウォッシュ会議評議員)
栗田 禎子(千葉大学教授、パグウォッシュ会議評議員)
調 漸(長崎大学副学長、核廃絶長崎連絡協議会会長)
高原 孝生
(明治学院大学教授、国際平和研究所所長、前パグウォッシュ会議評議員)
板垣 雄三(東京大学名誉教授、東京経済大学名誉教授)
稲垣 知宏(広島大学教授)
梅林 宏道(長崎大学 核兵器廃絶研究センター客員教授)
小沼 通二(神奈川歯科大学理事、元パグウォッシュ会議 評議員)
朝長万左男(長崎大学名誉教授)
池上 雅子(東京工業大学大学院教授)
大西 仁
(東北大学名誉教授、元パグウォッシュ会議評議員)
日本パグウォッシュ会議諮問評議会
吉川 弘之
(科学技術振興機構特別顧問、元国際科学会議(ICSU)会長)
片岡 勝子(広島大学名誉教授)
片峰 茂(長崎大学学長)
黒川 清
(政策研究大学院大学アカデミックフェロー、特定非営利活 動法人日本医療政策機構代表理事、日本学術会議元会長)
黒澤 満(大阪女学院大学教授、大阪大学名誉教授)
河野 洋平(元衆議院議長)
沢田 昭二(名古屋大学名誉教授)
下村 脩(2008 年ノーベル化学賞)
坂東 昌子(愛知大学名誉教授)
平松 恵一(IPPNW 日本代表)
広渡 清吾
(専修大学法学部教授、日本学術会議元会長)
藤垣 裕子(東京大学大学院教授)
益川 敏英
(名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構機構長、 2008 年ノーベル物理学賞)
山崎 正勝(東京工業大学名誉教授)